プロのハウスクリーニング業者である私が現場で使っている、手作りの水あか用酸性洗剤の作り方を紹介します。
どちらかというと業者さん向けのページなります。
全て自己責任で行って下さい。
私はこれまで様々な業務用洗剤や一般家庭向けの洗剤を試してきました。
その中でも課題は水垢や石けんかすを落とすための洗剤でした。
業務用の高価なものは優れたものがいくつかありました。
しかし成分が強すぎて、素材を損傷させるため使えない場所がどうしても出てきます。
ある時自分で使いやすい酸性洗剤を作ってみる決心をしました。
安全性を確認したうえで、すこしづつ割合や成分そのものを変えたりして今の配合で落ち着いています。
しかしまだまだ成分としては弱いので、これからも少しずつ進化させていきたいと思っています。
それでもずいぶんと作業が早く楽になりましたが。
このページでは、プロの私が現場で毎日使っている水垢洗剤の作り方と用途などを紹介しています。
食品添加物を使用した酸性洗剤
私がこれから紹介する洗剤は、食品添加物に使用されている成分です。 比較的手に入りやすかったことと、原料ではありますが口に入れるものというところで採用しました。
洗剤の名前は FA酸 と読んでいます。
食品添加物(Food Additive)の酸 という単純な命名になりました。
原料としては強い酸なので取り扱いには十分ご注意下さい。
FA酸のpHはサンポールに近い
FA酸は、トイレ用洗剤「サンポール」に近い酸性です。
目に入るとものすごく痛いです。
手袋やゴーグルをするなど取り扱いには十分注して下さい。
簡易的なpH計でFA酸のpH(水素イオン濃度)を測定をしました。
身近にあるものと比較してみるとだいたいの強さがわかると思います。
水のpHがほぼ7で、数値が小さくなるほど酸が強くなります。
測定したもの | 水素イオン濃度 |
コーラ | pH2 |
レモン果汁 | pH2 |
FA酸 | pH0.5 |
サンポール(塩酸9.5%) | pH0.2 |
酸が強ければ水垢が落ちるという単純なものではありません。
浸透性をよくするための成分が重要になってくるものだと思います。
FA酸の作り方
クエン酸をベースにリン酸とスルファミン酸を混ぜるという単純なものです。
乳酸やリンゴ酸も試しましたが、金額的にあきらめました。
必要なもの
写真は私が使っているものです。身近なものを使用して下さい。
ボトルはポリプロピレンやポリエチレンであれば大丈夫だと思います。参考になれば幸いです。
あえてリンクは張りません。アマゾンやモノタロウでも原料は売っています。あくまで研究用としての購入が条件となります。
スルファミン酸とクエン酸
今はこのスルファミン酸です
トグルボトル
トグルキャップ(便利です)
ろうと
タニタのはかり
作り方
必ず手袋をして下さい。
万が一酸性のものが皮膚に触れたら重曹水など弱アルカリ性のもので必ず中和して下さい。
1.空ボトルにお湯180gを入れる
2.ロートをセットします。
3.ロートからクエン酸をすこしづず入れ、全て入れてしまいます。
3.次にスルファミン酸も全て入れます
4.ここでロートを一旦取りキャップをしっかりと閉めます。
5.ボトルをよく振り、混ぜます。
6.フタをあけロートを再びセットします。
7.次にリン酸を全て入れます。
8.ここで再びしっかりとフタをして、よく振り混ぜます。
9.再びロートをセットし増粘水を全て入れます。
10.再びフタをして、しっかりと振り混ぜれば完成です。
完成品は無色透明です。少し酸味のある臭いがします。
決して口に入れないで下さい。
スルファミン酸は溶解度を超えているため、全て溶けきれませんがそれで構いません。 使用するときにはよく振って使用します。
素材を傷めにくいので様々なところの水垢除去が可能です。
注意!使えない素材
ハウスクリーニング業者さんであればわかっているはずですが、酸性なので少なくとも次の場所は使えませんので注意をして下さい。
天然大理石
人造大理石(成分が天然大理石に近い)
フッ素樹脂(テフロン加工)
アルミニウム(サッシであれば3分位大丈夫です)
もし目に入ったら必ず大量の水ですすいで下さい。
必ず目立たないごく狭い範囲でテストをして下さい。
こんな使い方ができます
軽い水垢の除去に。
強い水垢は塗ったあと30分ほど放置して傷のつかないものでこすります。
水栓金具(蛇口など)や周辺の茶色い水垢除去に
カルシウム系の水垢全般に
御影石は傷めにくいですが、カルシウム多めの石材もあります。必ずテストはして下さい。
鏡のウロコ取りの前に塗って30分~1時間ほど放置しておくと、その後の水垢除去がすごく楽になります。
鏡の上下に付着する固まった茶色い水垢も塗ったあとスクレーパーで除去しやすくなります。
強い水垢は落とす前にブラシなどでつけ置きして(塗って)おくと除去しやすくなります。
石けんカスに対して効果は弱いです。
石けんカスはリンレイのウルトラハードクリーナーバス用(アルカリ)かテラクリーナー(酸性)の方が効果があります。
落ちない場合は素材に応じて、ハイホームやEZクリーナーなどの研磨剤か、テラクリーナーヤマト(業務用)を併用しています。
こんな感じで使ってます。
キッチン周りの水垢除去の工程を写真で見てみましょう。
歯ブラシでゴシゴシとあらかじめこすって、水垢をある程度物理的に除去したものです。
簡単には除去できないのでFA酸で除去します。
1年間育てた水垢です(笑
赤い丸印の中の水垢を除去します。

FA酸をかけます

すぐに泡がブクブクと出てきます。
汚れとFA酸が反応している証拠です。
ちょっと暗くて見づらいですが、アップにすると

5分後歯ブラシでこすると


簡単に取れました。今回のような茶色い水垢はカルシウムが主成分だと思われます。
FA酸が最も効果的に効く汚れです。
実は自宅の水垢なのですが、うちは水垢がそんなにたまらないため簡単に除去できましたが、簡単に取れないことももちろんあります。
そんなときは、ハイホームなどの研磨剤を使うか傷のつきにくいパッドでこするということもしなければなりません。
汚れの成分がアルカリ性?酸性?それって本当?
インターネット上では、中和をして汚れを落とすという考え方が当たり前になっているようです。
このブログを強化するに当たり、他のサイトを見ていて正直びっくりしました。
大手のハウスクリーニング業者さんまで。
私はこれまで中和をさせているという意識がなかったので、どんな理屈だろうと調べてみましたがその根拠を見つけることは出来ませんでした。
よくネットで散見される
「水垢はアルカリ性だから酸性で中和させれば落とせる」(私は噂レベルで捉えています)
という理屈が真実だとすると、
乱暴ないい方ですが、
「とにかく酸をかけてやれば中和できるから落とせますよね」
という理屈になると思うんです。いやもう中性を超えて酸性まみれになるかも
しかし、酸が強い弱いだけでは汚れを落とせないことは、頭の悪い私でも一応経験から理解してます。
例えばカルシウムが主体の水垢があったとします。同じpH(水素イオン濃度)のクエン酸と塩酸があったとしたら、塩酸の方がはるかに反応が良く水垢落としに向いています。
やはり汚れと相性の良い成分があるということが、大きく関係しているのは間違いないと思います。
よくお風呂の洗面器の周りやイスに石けんカスがつきますよね。
爪でこすると比較的簡単にはがれていく汚れです。
あの汚れを落とす洗剤は、酸性もアルカリ性も存在します。
汚れ落としは、いかに汚れの成分を軟化させるか、溶解させるか、はがしやすくするか、だと思うんです。
汚れが酸性だとかアルカリ性だとか考えなくても汚れは落とせます。
大切なのは洗剤の成分がどういうものであるかということを知っておくことだと思います。
長々とすみませんでした。
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掃除の極み
スマイルクリーンなぎさ
山本
1.クエン酸(粉末)40g
2.スルファミン酸(粉末)30g
3.リン酸(液体)40g
4.増粘水 210g
5.空ボトル 500ml用(トグルキャップ付き)
6.はかり(キッチンスケールでOK)
7.ロート(じょうご)
8.お湯 180g(40℃位)